増刊号 ─知りたい最新情報がすぐわかる!─不妊・不育症診療パーフェクトガイド
9.不育症の治療
Q2 免疫グロブリン療法は有効ですか? また実施するとしたら注意点は何ですか?
山田 秀人
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1神戸大学大学院医学研究科外科系講座産科婦人科学分野
pp.383-385
発行日 2016年4月20日
Published Date 2016/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208767
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A ・原因・リスク因子が不明の習慣流産に対して,母体静脈内免疫グロブリン療法(IVIg)の有効性を認めた二重盲検試験(RCT)は,これまでに1研究しかありません.続発性習慣流産に対するIVIgの有効性を報告した近年のシステマティック・レビューと,それを否定するレビューが存在します.したがって,習慣流産に対するIVIgの有効性は,いまだ未確定であるといえます.その理由は,これまでのIVIgのRCTにおいては,投与量と期間がまちまちで,対象の流産回数が少なく(軽症),絨毛染色体の検査もされていない(効果判定が不正確)など,問題点が多いからです.
・妊娠初期大量免疫グロブリン療法(HIVIg)は,世界で初めて日本で実施された治療法で,インタクト型Ig 20gを5日間連続して投与(総投与量100g)します.RCTではありませんが,4回以上の流産歴をもつ難治性習慣流産に対して有用であるとする報告があります.この治療を行う場合には,自費診療となり,かつ倫理委員会などの承認と患者同意が必要です.IgA欠損やIgに対するアレルギーがないことをあらかじめ確認しておかなければなりません.
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