連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール
初診時に確定診断に至らなかった異所性妊娠症例の検討
武知 公博
1
1公立昭和病院産婦人科
pp.454-458
発行日 2015年5月10日
Published Date 2015/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208419
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はじめに
異所性妊娠は産婦人科領域の重要な救急疾患であり,早期の的確な診断・治療が必要であることはいうまでもない.異所性妊娠部位の破裂による大量出血やそれに伴う出血性ショックを呈した典型例での診断は困難ではないが,未破裂の初期症例での診断は必ずしも容易ではない.一方,診断の遅れにより重篤な転帰に陥った場合は,深刻な医事紛争に発展することも稀ではなく,産婦人科医療事故において異所性妊娠関連事例の占める割合は少なくない1).
以下に,初診時に異所性妊娠が見逃された4症例を呈示し,検討を加える.最終的には事なきを得たものの,いわばニアミス症例であることは否定できない.なお,それぞれ症例の冒頭に当初の診断を記載しておく.
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