境界領域の再評価とその展開 特集
産婦人科心身症
女性における心身症
末松 弘行
1
Hiroyuki Suematsu
1
1東京大学医学部心療内科
pp.295-297
発行日 1987年5月10日
Published Date 1987/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207580
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
心身症とは,「身体症状を主とするが,その診断や治療に心理的因子についての配慮がとくに重要な意味をもつ病態」と定義されている。つまり,身体症状を訴えて精神科以外の内科や産婦人科を訪れる患者の中で,よく聴いてみると,その症状をきたした原因や,なかなか治り難くなっている要因に心理・社会的なものが大きく関与しているような症例を心身症というのである。
女性において,この心身症がよくみられる疾患としては,まず更年期障害があげられよう。また,月経異常や妊娠悪阻のような産婦人科の専門領域の疾患もある。しかし産婦人科領域以外でも女性の心身症は多く,心療内科では入院患者は一般に女性の方が多い。そして,幼年期から,思春期・青年期,周産期・壮年期,更年期,老年期と揺りかごから墓場まで心身症がみられる。そこで本稿では,そのような女の一生のライフサイクルにそって,各期の心身症をとりあげて,心身症とは何かについて述べる。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.