症例
脳腫瘍による尿崩症を伴った原発性無月経患者の妊娠分娩例
堤 治
1
,
石原 理
1
,
中川 真
1
,
菅生 元康
1
Osamu Tsutsumi
1
1長野赤十字病院産科婦人科
pp.731-734
発行日 1984年9月10日
Published Date 1984/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207059
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脳腫瘍により,尿崩症を合併した原発性無月経患者の妊娠分娩例を報告する。症例は24歳主婦,主訴は挙児希望。14歳時第III脳室の異所性松果体腫瘍のため減圧手術と放射線治療をうけ治癒した。発病時より多尿があり治療後も持続したが放置していた。20歳より3年間Kaufmann療法をうけた。LH-RH負荷試験では低良反応を示し,視床下部性の原発性無月経(第2度)と診断した。他の前葉機能には異常を認めないが,後葉機能検査て水制限試験に無反応,外因性ADHに反応することより中枢性尿崩症と診断した。HMG-hCG療法にて排卵し,2周期目に妊娠が成立した。妊娠後期に中毒症を合併したが,ADH製剤を使用したところ,尿量減少とともに中毒症も軽快した。39週0日自然陣発するも微弱のためPGF2αにて促進し,2,500gの男子を分娩せしめた。母児ともに経過は順調であった。
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