明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 性機能と中枢--その生理と異常
Topics
ゴナドトロピンの生物活性と免疫活性
杉並 洋
1
Hiroshi Suginami
1
1愛媛大学医学部産科婦人科学教室
pp.716-717
発行日 1984年9月10日
Published Date 1984/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207054
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現在ゴナドトロピンと称されているものには,脳下垂体由来の卵胞刺激ホルモンFSH,黄体化ホルモンLH,および絨毛由来の絨毛性ゴナドトロピンCGなどが含まれる。本稿では紙面上の制約などもあり,われわれの得た最近の成績をまじえLHの生物活性と免疫活性について述べることとする。
われわれの研究は,LHのradioimmunoassay (RIA)を行う際に用いる試薬を変更すれば同一試料を測定しているにもかかわらず種々の異なった測定値が得られるという疑問に端を発した。すなわち,LHの免疫学的測定値は必ずしもホルモンそのものの量を表現しているのではないかもしれないという疑問である。そこで,LHのホルモン活性をより直接的に把握でき,かつよりホルモン特異性の高いin vilro bioassay法1)を導入し,これら両法による測定値を比較することとした。まず,ヒト正常月経周期における血中LHの推移を検討した2)。全般的にみれば両測定値の推移はおおむねよく一致しているものの,両測定値の比(B/I ratio)は一定したものではなく卵胞期後期では比の低下が認められた。また,B/Iratioには被験者個々の間に有意の個体差が認められた2)。さらに,無排卵産婦人血中LHのB/I ratioは正常婦人のそれより明らかに高値であることも認められた2)。
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