Modern Therapy 母乳
母乳の生物学—その分泌機序をさぐる
水口 弘司
1
Hiroshi Minaguchi
1
1横浜市立大学医学部産婦人科学教室
pp.790-797
発行日 1981年11月10日
Published Date 1981/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206512
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乳汁分泌の現象は哺乳類の生殖過程で,排卵,妊娠,分娩と同様に重要な意義をもつことは明らかであり,ほとんどすべての動物で新生仔の生命,その発育,成長は母乳に依存する。したがって,十分な乳汁分泌を保つことは種の生存には不可欠である。新生児は妊娠中と同様に母体の代謝を変化させて乳汁分泌を誘発させ,母体から栄養を吸収する。一方,母体は自己を犠牲にして乳汁を産生し,また授乳期の初期では母体の排卵周期も停止する。
乳汁分泌の生理は従来主としてラット,マウス,モルモットなどの実験動物,あるいはウシ,ブタ,ヒツジなどの家畜で研究されてきた。
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