Modern Therapy HBウイルスの母児感染をめぐって
新生児HBウイルス感染の予防—抗HBヒト免疫グロプリン投与による
徳永 昭輝
1
,
尾崎 進
1
,
竹内 正七
1
Akiteru Tokunaga
1
1新潟大学医学部産婦人科
pp.287-293
発行日 1980年4月10日
Published Date 1980/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206228
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周産期におけるHBウイルス感染(以下HBV)をめぐる重要な課題は,HBVの母児感染の実態を究明し,HBVのCarrier断絶を目的とした母児感染の予防にあると考えられる。岡田ら1)の臨床成績は,Magnius2)が記載したe抗原をHBV carrier motherが保有しているか否かが,母児感染の成立に大きく関与することを示した。すなわち,免疫学的にe抗原を測定することが,母児感染の感染力の指標として現在もっとも有用性の高いことを示している。今日までの多くの研究,臨床成績から母児感染の実態はかなり明確になってきている。しかし,HBVの持続感染を完全に断ち切る力法はないというのが現状である。
将来,HBV carrierに対する治療として,Inter—feronの投与が有望な方法と考えられているが,まだ多くの問題が残されている。一方,HBVの感染予防については,すでに高力価HBs抗体含有免疫グロブリン(以下HBIG)の投与が,医療従事者や人工腎透析患者などのHBV汚染(high risk group)の感染予防に有効であることが報告されている。しかし,母児感染の予防にHBIGを投与することについては,今日なお一致した見解は得られていない。そこで,HBV母児感染予防法について述べ,HBV感染のhigh risk infantに対し,一定の投与基準を設定して,HBIGを投与し,その臨床経過について検討しているので,現時点までの成績を中心にその概要を報告する。
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