総合講座 産婦人科と循環
脳循環障害の病態と治療
喜多村 孝一
1
,
加川 瑞夫
1
Koichi Kitamura
1
,
Mizuo Kagawa
1
1東京女子医科大学脳神経センター
pp.349-352
発行日 1974年5月10日
Published Date 1974/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205034
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中枢神経系疾患のなかで,脳循環の異常に起因する脳血管障害は近年増加の傾向にある。特に平均寿命が延長し高齢者が多くなつたことはこの傾向に大きな拍車をかけているように思われる。
古くは脳循環の病態はもつぱら病理学的あるいは臨床的な面からのみ検索されたために,不明な点が多く残されていたが,近年,生理学的なアプローチがなされるようになり多くの新しい知見が得られた。この脳循環障害の病態生理の面に画期的な飛躍がなされたのはKety—SchmidtらのN2O法による脳循環測定が行なわれるようになつてからである。ついでアイソトープを用いヒトの脳局所循環動態が解明されるに及んで,この方面の業績は著しい進歩をとげている。近年脳循環障害の病態生理に関しては多くの説が挙げられ,治療の方針もそれぞれの説に従つていろいろの方法がとられている。しかしながら,余りにも膨大な業績が一挙に出てきたため,やや混乱を招いているようである。したがつて脳循環障害の病態に関する諸説を統合整理しなおし,さらに進んで現時点における脳循環障害の病態の把え方と治療法について検討を加えてみたいと考える。
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