特集 分娩後の諸問題
産褥期の異常について
国本 恵吉
1
Keikichi Kunimoto
1
1岩手医科大学産婦人科学教室
pp.479-484
発行日 1973年6月10日
Published Date 1973/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204834
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産褥は,分娩後,妊娠および分娩により生じた性器や全身の形態的および機能的変化が妊娠前の状態に戻るまでの期間をさし,その期間はおよそ6〜8週とされている。この期間に性器に起こる現象は,大別すると,子宮その他の性器の妊娠前の状態への復古,分娩時に生じた産道の創傷の治癒および乳汁分泌に分けられる。さらに妊娠中胎児発育に好都合なように適応していた呼吸器,循環器,消化器,泌尿器など諸臓器の機能を,きわめて短期間内で妊娠前の状態に適応させねばならずそのための生理的変化が加わつてくる。
このような全身的,形態的および機能的変化は,妊娠中の穏やかな適応にくらべ,きわめて短期間に起こるため,その適応の優劣は,その後の全身の機能に重大な影響を与えることはいうまでもない。産褥時に起こるこれらの変化は,また急速なホルモン平衡の変化や,分娩時の激しい身体的労作による疲労あるいは褥婦の感情の変化も加わつて一層複雑化される。
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