薬の臨床
血中絨毛性gonadotropin半定量の臨床的意義—第1報
福島 峰子
1
,
小川 英弌
1
,
杉山 好広
1
Mineko Fukushima
1
1秋田大学医学部産婦人科学教室
pp.823-828
発行日 1972年9月10日
Published Date 1972/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204681
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妊娠により形成されるtrophoblastからHCGが分泌される。従来それを動物を用いる妊娠反応により検定してきた。しかし動物検定のもつ欠点,たとえば動物を扱う煩雑さ,不経済性,検定に時間がかかるなどから限られた施設でのみ行なわれていた。しかしWide & Gem—zellによる羊赤血球凝集阻止反応をはじめとする免疫学的妊娠診断法の出現により,その簡便性,迅速性から,現在ではHCG検定をほとんどどこの診療所でも実施するに至つた。
ところが実際われわれが知りたいデーターは妊娠の有無すなわち妊娠反応陽性陰性の判定である場合よりも,むしろどの位の力価のHCGが分泌されているかということの方が多い。たとえば流産の予後判定,稽留流産の診断,特に胞状奇胎,絨毛上皮腫など絨毛性腫瘍に対しては診断上はもちろん,化学療法ならびに手術療法に対する効果を判定し,治療を調節するためにも,また予後追跡に際しても,HCG力価を知ることが不可欠であり,経過を追つて頻繁に定量することが要求される。このためには免疫学的に力価が検定できる感度のよい方法の出現が広く期待されているのである。
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