症例
分娩予定日まで持続し生活児を得た腹腔妊娠例
国重 憲
1
,
富永 好之
2
,
石川 裕惟
1
Ken Kunishige
1
,
Yoshiyuki Tominaga
2
1松江赤十字病院産婦人科
2鳥取大学医学部産婦人科教室
pp.419-422
発行日 1968年5月10日
Published Date 1968/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203884
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はじめに
腹腔妊娠は比較的まれなものであるが,全子宮外妊娠の1〜5%程度にみられ今日までこれに関する症例報告は少なくない。しかしその多くは妊娠の自然的,人工的(開腹術)中絶により児の予後は不良であり,健康児を得たものはきわめて少ない。さらに手術時において胎盤は腹腔臟器との癒着が強く,その処理は困難な場合が多い。またその処理方法が母体の予後を大きく左右する。
最近私達は予定日まで持続し低体重児ながら健全な生活児を得た腹腔妊娠例を経験した。この症例は胎盤と腹腔臟器との癒着がきわめて少なくその娩出は容易で後障害を残すこともなく,さらに子宮筋腫,卵巣皮様嚢腫の合併が認められた興味深い臨床例であるのでその概要を報告する。
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