Japanese
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幼児でpurine産生が亢進すると,アテトーゼ,ケイレン,精薄,自己損傷などの症状を呈する(Lesh, M.:Am.J.Med.36;561,1964)が,これはプリソ代謝の酵素系hypo-xanthine-guanine phospho-ribosyl-transferase(PRTase)欠損に基ずく(Seegmiller, J.E.:Science 155;1682, 1967)。生化学的には,C14-glycineの尿内尿酸取入れが体重相当健康者の100〜200倍に,また,尿酸排泄が正常の6倍に達する。PRTase 欠損を allopurinol(xanthineoxidaseinhibitor)で治療すると,尿酸生成を阻止し,尿路結石,痛風発来をコントロールすることができる。従つて本症の精神神経症発来を阻止しうると考えられる。正常児と本症患児で,髄液および血漿oxy-purineの濃度をみると,後者は2〜3倍高い(髄液は正常0.12,患児0.4〜0.5mg/100ml,血漿は正常0.15,患児0.12〜0.25)。
これをallopurinol治療すると,髄液0.9〜1.0mg(約7倍),血漿1.4〜1.6mg(10倍)となる。 髄液oxypurine濃度が中枢神経異常の発来に関係ありとすれば,allo治療でかえつて,それは悪化するはずである。しかし,患児を5〜18ヵ月治療したにもかかわらず,少しも悪化はなく,臨床状態は安定していた。もつとも乳幼児は大きい児童より,もつと感受性が大ではあろう。いずれにしてもoxypurine生合成を抑制する方法は治療の有力手段たりうるであろう。allopurinolでは尿酸生成を低下させえない。本症患者で,PRTase活性度を各種臓器でしらべると脳なかんづく基底諸核にもつとも高い。したがつて,PRTase欠乏には基底諸核にもつとも変化があらわれやすいと思われる,また,臨床症状は基底諸核の異常にもとづくものが著しい。
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