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症例報告
機能性子宮出血の成因とその治療に対するわれわれの見解
Our opinion about the etiology and treatment of functionnal uterine bleeding
小川 玄一
1
Genichi Ogawa
1
1北海道大学
pp.1220-1222
発行日 1959年12月10日
Published Date 1959/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202106
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機能性子宮出血の成因は正常の性周期現象に関与する神経性多腺性支配の失調に基く子宮内膜血管系の機能的異常によるものと解され,従つてその治療はそれら神経性多腺性支配の失調を是正して,子宮内膜血管系の改善をはかることに主眼がおかれなくてはならないと近時多くの人によつて唱えられておるが,われわれとしてもこうした考え方は一応すじの通つた見解であると思つている。そこで本症の成因ならびにに治療に対するわれおれの見解を結論的に述べることとする。
われわれの教室においてジフテリヤ・トキシンの家兎排卵誘発におよぼす効果を検討した際,ジフテリヤ・トキシンのみでは副腎に出血性壌死をおこさしめるのみであつた。ところが,もしこれにPMSのごく少量の前処置を施せば,確実に家兎排卵は誘発される。またエストロゲンの前処置によつてはジフテリヤ・トキシンの家兎排卵誘発効果は著しく低下するが,子宮には著明な出血を起さしめるのである。すなわち,ジフテリヤ・トキシンの投与により,卵巣にあらかじめ条件付け因子を与え感受性を昂めておく時は排卵が誘発され,子宮に条件付け因子を与え感受性を昂進せしめておく時は子宮出血がおこる。
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