Japanese
English
手術手技
人工妊娠中絶の手技に就いて
On the technique of artificial interruption of pregnancy
舘 繁雄
1
TACHI SHIGEO
1
1名古屋市舘産婦人科医院
pp.189-196
発行日 1957年3月10日
Published Date 1957/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201523
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
1.緒言
終戦とともに,戦時中の法規は殆んど廃棄せられたが,独り国民優生法第16条は世相に抗して残存した。
国敗れ,国家は経済上破綻に見舞われ,国民生活の保障すら出来ず,国民は「インフレ」の波に押し流され,全く塗炭の苦しみに喘ぎ,殊に家族の増加を極度に怖れ,既に妊娠している者は,これを中絶するために,産婦人科医或いは非医者の許を訪れて,非合法の手術を求めた。当時は深刻な世相の進度が速く,法的措置が遅れていた結果,戦時中の国民優生法第16条の該当事項,即ち生命に危険を及ぼす疾病の場合にのみ中絶手術が許されていたために,産婦人科医は世相と法との板挾みとなり,一部には法的制裁を受けた者もあり,又は強迫,恐喝を被る等,不愉快な事態の発生に悩まされた。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.