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速報
ABO式血液型不適合によるIcterus neonatorum Praecoxの1例
A case of icterus neonatorum praccox due to A-B-O incompatibility
神崎 卓
1
Takashi Kanzaki
1
1信州大学医学部産婦人科学教室
pp.453-455
発行日 1956年6月10日
Published Date 1956/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201384
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緒言
1940年Landsteiner等1)によりErythrobla-stosis foetalisの原因はRh因子によることが明らかにされたが,かかる発生機転を認めるならばRh因子以外の血液型でも同様な新生児障害が起り得ることは容易に考えられる所である。Halbrecht(1944)2)ははじめてIcterus neona-torum praecoxと抗A又は抗B抗体との関係を指摘した。彼はこのような新生児黄疸を生理的な新生児黄疸と区別するためIcterus neonatorumpraecoxと命名したのであるが,典型的な例では黄疸は左程著明ではなく既に生後第1日或は第2日に現われ,4〜5日で消褪に向い,Haemoglobin量も僅かに低下する程度であり,重症のものでも数回の輸血で恢復するという。Halbrechtはこの種の例を集めてその95%に母子間のABO式血液型の不適合を認め,Wiener等3)は81%が同じくABO式血液型不適合であつたと述べている。即ち本症の成因は母子間のABO式血液型の不適合によるものであって,胎児のAB因子により母体血清中の正常凝集素α,βの凝集素価が上昇し,これが新生児へ逆行し新生児の血球を破壊することが原因とされている。
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