原著
日本人のRh式血液型分布とその遺伝学的考察
塩津 英晤
1,2
1東京大学医学部産科婦人科学教室
2水戸赤十字病院産婦人科
pp.669-675
発行日 1955年7月10日
Published Date 1955/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201214
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第1章 緒論
Rh式血液型の発見に依り,従来原因不明とされていた新生児溶血性疾患の一部が母児間に於ける該血流型不適合に起因する事が判明し,欧米では其の基礎的及び臨床的研究が広汎に行われており,該血流型の分布及び遺伝に就いても,Wie-ner,Fisher,Race,Mollison等の研究に依り,略決定的となつたものと考えられるが,本邦では小川,猪野,神谷,木原等の主としてRho (D)抗原の分布に関する報告を見るのみでありその遺伝子型の研究に就いては古畑の報告があるにすぎない。
Rh式血液型発見当初には, Rh抗原は単一なものと考えられていたが,Wiener及びLevineに依り3種類に分類され,更にRh抗原とは逆の関係にあるHr抗原が見出されて,6種類の抗原から成り立つことが明らかにされ,その研究は詳細を極めるに至つた。
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