症例研究
正規分娩後に發生せる絨毛上皮腫の1例
池田 雄比古
1
1三井厚生病院産婦人科
pp.406-408
発行日 1952年9月10日
Published Date 1952/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200672
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1.緒言
絨毛上皮腫は常に妊娠に績發し,統計上本症の過牛數は胞状奇胎に,次で屡々流産,殊に早期流産後に發生し,比較的稀に正規分娩後に發生する。但し文献中に散見される正常分娩後に發生せる本症例中には,その潜伏期が長きにすぎ或はその間不正出血がある等により,果して正常分娩に績發せるものか,また或はその間に看過された初期妊娠流産に績發せるものか,俄かに斷定し難いものが少くない。然るにこゝに報記する本例は確かに正規分娩後に發生した1例で,後に外陰に及び症状發現後2ヵ月餘を經て全子宮と外陰部轉移腫瘍との剔除を施行したが,手術後長くフリードマン氏反應は陽性を呈するので他臓器への轉移形成を警戒してをつた所,遂に肺臓其他に轉移竈を形成し死の轉婦をとるに至つた1例である。
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