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尿中Pregnanediolの定性法とその臨床應用排卵期の推定—(pregnanediolに關する研究 第3報)
輿石田 鶴穗
1
1東京大學醫學部産婦人科教室
pp.133-140
発行日 1952年4月10日
Published Date 1952/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200604
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序文
余は尿中preg.の一簡易定性法たる沈降試驗法の臨床的應用に關し先づ基礎體温曲線に關する調査を裏付けとして本法による婦人排卵期の推定を試みた。抑々婦人排卵期の推定は古くよりその受胎期との密接な關聯が豫想せられて大いに究明せられたものであり,20世紀の初期に於ては前世界大戰當時の莫大數の統計的観察の結果,婦人の受胎の高率期は月經後期に有ることが不動の鐵則として確立され,その爲Schröder等により解剖學的に確認された排卵期或は黄體發生,子宮内膜の周期的變化に關する結果と重大なる齟齲を生するに到つた。然るに1929年Knausはprogesteroneが子宮筋のpituitrin感受性を低下せしめることより實驗的に排卵は月經間期に行われることを立證し,之より前,荻野は1924年來,卵巣と子宮内膜の周期的變化の關聯性を精細に觀察した結果に婦人科手術腹時の卵巣所見を嚴正に調査した成績を加えて從來の傳統的見解に對する反對説を國内諸雑誌に發表していたが,1930,32年には廣く海外に發表し,確乎たる荻野學説として舊學説の誤膠を遂一指摘し,茲にSmuldersの形容する如く難攻不落とされた迷信的牙城も遂に嵐壊するに至つたのである。
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