診療室
若年婦人のホルモン性月經障碍と其の治療
佐藤 美實
1
1三樂病院産婦人科
pp.495-498
発行日 1950年12月10日
Published Date 1950/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200422
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婦人の一生のうち最も華な活動的な時代である生殖年齢時代は妊娠授乳の時期を除いて常に月經を見る。そして女性身體に何か異常があると月經に變調が見られることが少くない。それだけに女性一代の健否と月經とは密接不可分の關係を有つのである。余は嘗て月經は女性身體を窺う窓のようなものであると述べたことがあるが此の月經を通して女性身體の内部を或程度のぞき見ることが出來ると思う。恰も男女を問わず發熱が現れた時に之が身體に異常のあることを豫告するが如きもので月經なき男性は身體障碍を先驅的に豫知する徴候を女性よりも一つ缺くこととなり此の點は不利なことと思う。
さて急性傳染病,結核,中毒等による全身障碍からの月經異常はここに除外して女性性器に基く障碍に就て探索して見ると1.ホルモン障碍によるもの,2.性器の形態學的變化によるもの,3.植物神經系障碍によるものに分けられる。是等は單獨に又二つ或は三つが合併してをることがある。故にいずれの障碍に基く月經異常であるかを先づ明にする必要がある。そのために先づ第一に臨牀的に診査して全身の發育状態,女性性器並に其の周圍の状態を明にする。例えば性器の發育の状,形態的器質的變化の有無,殊に妊娠初期に於ける診斷は特に注意して之を明にせねばならぬ。又場合によつては診査掻爬,子宮卵管浩影法を應用して直接子宮の状態を見る。
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