境界領域 眼科から
妊娠時に見られる眼底所見
植村 操
1
1慶應義塾大學醫學部眼科學
pp.33-36
発行日 1950年1月10日
Published Date 1950/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200306
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妊娠又は産褥に際して,所謂弱視或は失明の來ることは,可成り以前から知らたていたが,その詳細は不明であつた.然るに檢眼鏡が發明されて眠底を檢査することが出來るようになつてから,此内に眼底に變化があるために視力が害されているもの,又認むべきものないものとがあることが判つた.即ち妊娠腎に際しては妊娠腎性網膜炎と子癇性黒内障とがあることが知られた.
それでは妊娠腎患者は網膜炎の來る頻度はどの位かというと,その報告は至つて少い.或る報告者は極めて小さい數を示しており,或る學者は妊娠腎の際には網膜炎を起さないとさえ云つているが之は誤りである.又或る學者は15%近くも起ると云つている.
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