症例研究
子宮筋腫と誤診された高度に石灰化せる類皮嚢胞の1例について
安武 豊志男
1
1慶應義熟大學醫學部産婦人科教室
pp.22-25
発行日 1950年1月10日
Published Date 1950/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200301
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緒言
婦人性器腫瘍の退行性變化として,石灰化が筋腫,纎維筋腫,纎維腫,癌,卵巣嚢腫,卵巣黄體及白體等に存在することは稀ではない.卵巣腫瘍の續發變化たる水腫,脂肪化,出血,壞死,石灰化等は一般に充實性腫瘍殊に悪性腫瘍に強く,嚢腫及び良性充實性腫瘍には輕度である,就中,卵巣類皮嚢胞の實質突起並びに嚢房壁の續發變化で比較的瘻々認められるのは退行性變化,循環障碍並びに潴溜嚢腫で,退行性變化としては脂肪沈着石灰化,硝子様變性,軟化,壞死等で時には粘液變性を來すことがある.全嚢胞内容が石次化した例はKroemer,岩永の報告があるが,全嚢胞壁が石灰化して所謂石次殻を形域せる例はBusse,宮崎の報告を出でず稀有なるものである.余は類皮嚢胞の嚢房壁内に高度に石灰化し,殆ど石灰殼を形成し,共の骨盤内占居部位,硬度形状よりして恰も子宮筋腫を思わしめた例を經驗した.
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