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産褥に於ける腎臟機能數の消長に就て
武藤 友美
1
1京都府立醫科大學産婦人科教室
pp.396-399
発行日 1949年10月10日
Published Date 1949/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200266
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Ⅰ緒論
從來(1,6,7,8)所謂妊娠腎症状を有する妊婦の中には單なる妊娠腎のみならず,慢性腎炎を合併するもの,或は腎炎に移行すべきもの等,種々の病型があると謂われ,之等の病型を明確に鑑別することは,種々の腎臟機能檢査によるも困難である.併し單純な妊娠腎の場合には,其の諸症状は産褥に入りて急速に消退し同時に腎臟機能も速かに恢復し,腎炎を遺殘或は腎炎に移行すべきものは,腎臟機能の恢復十分ならず.隨つて産褥に於ける腎臟機能檢査は妊娠腎症状を有するものゝ診療上有意義なものと謂える.
腎機能檢査法としては,從來幾多の報告があるが臨床上實地醫家の賞用するものは,Volhard8)の提唱せる稀釋濃縮試驗と種々の之が變法であり,之等は何れも一定の試驗食投與後尿量と比重との測定により腎臟の稀釋濃縮力を知り以て腎機能の全般をと知する方法である.
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