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最近11ヶ年間に於ける吾教室尿瘻患者の臨床的經驗
財前 翠
1
,
古賀 喜佐
1
1九州大學醫學部産婦人科學教室
pp.184-189
発行日 1948年11月1日
Published Date 1948/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200131
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緒言
尿瘻は吾産婦人科領域に於ては、膀胱腟瘻、膀胱子宮頸瘻、尿道腟瘻、尿管腟瘻、膀胱腹壁瘻等に分類されてゐる。之内最も多く遭遇するのは膀胱腟瘻で尿管腟瘻之に次ぎ他は甚だ稀に見られる。而して尿管腟瘻及膀胱腹壁瘻は自然治癒を營むことが多く又括約筋の損傷なき尿道腟瘻は尿失禁を伴はないため孰れも吾々の治療の對象となることは尠い。之に反して膀胱腟瘻は自然治療を營むこと極めて稀で常に完全なる尿失禁を伴ひ患者に甚しき肉體的精神的苦痛を興へ又其治療は仲々困難で今日迄多種多樣の術式が考按發表されてゐるが姑息的なる腐蝕法に始まり新創面形成法、單純分割法、切除分割法を經てFüth氏の術式に到達した。尚複雑瘻に對しては之の變法が適宣應用されてゐる。
余等は昭和11年より同21年に至る最近11ヶ年間の當教室の本症患者に就て2,3の臨床的觀察を行つたので茲に其結果を簡單に報告する。
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