増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
婦人科編
III 更年期・老年期
悪性腫瘍術後のホルモン補充療法
小川 真里子
1
,
髙松 潔
1
1東京歯科大学市川総合病院産婦人科
pp.159-161
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103699
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疾患の概要
婦人科腫瘍手術での両側卵巣摘出や乳癌治療に際しての抗エストロゲン薬の使用,また各種悪性腫瘍に対する化学療法など,悪性腫瘍の治療により卵巣機能の廃絶がしばしば起こる.近年では,悪性腫瘍治療によるsurgical menopauseが将来的に虚血性心疾患や骨粗鬆症による骨折のリスクを上昇させ,生命予後にも影響することが議論されるようになっている.悪性腫瘍に対する治療成績の向上により,以前はあまり目を向けられなかった悪性腫瘍術後患者のQOLに対する関心が高まるなか,治療ツールの1つとしてホルモン補充療法(HRT)も重要な役割を担うものであると考えられる.
2012年に刊行された「ホルモン補充療法ガイドライン 2012年度版」では,改訂に伴い「CQ6 : 悪性腫瘍治療後のHRTと再発リスクは?」の項目が設けられ,婦人科悪性腫瘍および乳癌の治療後のHRTについて解説されている.本稿ではガイドラインの記載に準じ,悪性腫瘍術後のHRT(estrogen therapy : ET,estrogen-progestogen therapy : EPT)の処方の実際について述べる.
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