連載 FOCUS
第三者の関与する生殖医療の現況と問題点
石原 理
1
1埼玉医科大学産科婦人科
pp.782-787
発行日 2012年8月10日
Published Date 2012/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103127
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はじめに
体外受精・胚移植をはじめとする生殖医療(以下ART)は,その三十数年の歴史を踏まえ,今,成熟と再評価の時期を迎えている.言い換えるなら,卵巣刺激,採卵,培養,胚移植など技術的方法論の開発や,妊娠率,生産率など直接的な治療成績の指標が最も重要な課題や問題であった時代は,すでに終焉を迎えたといえる.そして,ARTの関与により出生した児の長期予後を含めた安全性とその効果や影響(医学・生物学的な効果や影響に限らず,社会・文化的なインパクトを含めた広範なスペクトラムにある事象)についての,再検討が求められている.この時に避けて通ることのできない重要な問題解決の糸口のひとつが,「第三者の関与するART」である.なぜならARTの基本的フレームワークを設定するために,第三者の関与の有無とその範囲が大きくかかわることが間違いないからである.
そこで本稿では,第三者の関与するARTの現状について述べ,現時点で何が問題なのか,また,どうすればよいのか私見を述べる.
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