今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
腫瘍・類腫瘍
2.子宮腺筋症
中熊 正仁
1
,
森田 峰人
1
1東邦大学医学部産科婦人科学教室
pp.591-595
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102655
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1 概 念
子宮腺筋症(adenomyosis)は,子宮筋層内に異所性子宮内膜組織を認める場合に用いる疾患名で,病巣組織が子宮内腔または子宮筋層以外の部位で発生・発育する子宮内膜症(endometriosis)とは区別して取り扱われる.しかし,両疾患の病理学的な識別は困難で,臨床経過や症状などの共通点も多いことから類縁疾患として取り扱われている.
子宮腺筋症は,病巣の進展とともに子宮体積の増加や子宮内腔の伸展・変形が生じることから,子宮内膜症単独よりもさらに強い月経困難症状や慢性骨盤痛,過多月経が起こる.このため,罹患した女性のQOLを著しく低下させる腫瘍性疾患で,近年では子宮体癌の発生も懸念されている.
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