今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
V 腫瘍
【子宮体癌】88.不正出血と過多月経を認める子宮内膜異型増殖症が疑われる患者です.
松井 英雄
1
1千葉大学医学部産婦人科
pp.608-609
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101521
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
1 診療の概説
子宮内膜増殖症は子宮内膜が肥厚化している状態であり,腺細胞の異型の有無により子宮内膜増殖症と子宮内膜異型増殖症に分類される.さらに,それぞれを構造的特徴から単純型と複雑型に分けている.異型を伴わない子宮内膜増殖症は初経直後や閉経前後の無排卵周期が頻発する時期に起こることが多く,エストロゲンの長期過剰刺激により発生する可逆的病変であり,悪性化することも1~3%程度と少ない.無排卵以外の病態では,エストロゲン産生腫瘍,肥満,薬剤ではエストロゲン作用物質の長期被曝,タモキシフェン投与などが関与している.一方,子宮内膜異型増殖症は腺細胞の細胞異型を伴い,子宮体癌の前癌病変と考えられる病態であり,単純型の悪性化率は8%,複雑型では29%と報告されている 1).このため子宮内膜異型増殖症は子宮体癌の前癌病変として取り扱う必要があり,妊孕性温存の希望がない患者では子宮全摘手術が勧められる.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.