今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
II 内分泌
【月経前緊張症】38.多彩な症状がみられる月経前緊張症の患者です.
南 佐和子
1
1和歌山県立医科大学周産期部
pp.471-473
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101471
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1 診療の概説
月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)は,日本産科婦人科学会用語解説集 1)では「月経前3~10日の間に続く精神的あるいは身体的症状で,月経発来とともに減退ないし消失するもの」と定義されている.1931年にFrankらにより月経前緊張症として精神症状を主体とする病態が報告されたが,近年では身体症状も合わせて月経前症候群(PMS)とし,症候群として把握するほうが理解されやすい.月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder : PMDD)はPMSの2~9%にみられる重症型で精神症状が中心となる.
PMSの発生機序にはさまざまな説があるが,いまだ明らかにはなっていない.以前より黄体期のホルモン異常,すなわち黄体機能不全がその原因とされてきた.黄体期のエストロゲンの過剰分泌,黄体期のプロゲステロンの不足,アルドステロンの過剰分泌が月経前症候群の浮腫などの水分貯留の原因として報告されてきた 2).しかし,ホルモンの血中濃度には異常がない症例も多く,ホルモン剤の投与では症状が改善されないことも多く経験する.水分貯留にはプロスタグランディンの血管拡張作用や血管透過性の亢進などの関与も報告されている.
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