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I.Frankのpremenstrual tension
月経前緊張症という語はpremenstrual tensionの訳語と思われる。周期的に月経前期に出現する各種の障害(一括して月経前障害と呼ぶことにすれば),その代表としてよくこの名称が用いられるし,欧米の発表にはpremenstrual tensionという題名がはなはだ多い。この語は1931年にNewYork Academy of Medicineの神経精神科学部門の学会にNew YorkのRobert T.Frankが「prem.tensionのホルモン性原因」という発表をしたときに初めて使われたという。Archives of Neuro-logy and Psychiatry,26,1053,1931から彼の意見を引用すると次のごとくである。
最近注目されてきたことは,多数の婦人が月経前に種々の障害によつて制約を受けることである。正常婦人にみられる軽度の障害(minor dis-turbances)としては,つかれやすいこと,怒りつぽくなること,注意の集中が難しくなること,疼痛の発作などである。他のグループとしては主として疼痛のために,1日2日就床を余儀なくされる者がある。別のグループには,月経前に重い身体的失調が現われるもので,第1例は重いてんかんの発作を,第2例は気管枝喘息の発作になやまされ,両例ともレントゲン去勢によつて治癒せしめえたような例である。しかしFrankが特に(表題の名目で)とりあげたいグループは,名状しがたい緊張感(feeling of indescribable tension)を月経前7日ないし10日間訴えるもので,その多くは月経出血の開始まで続くものである。この群の患者は,不安,怒りやすさ,とび上りたくなる気持(like jumping out of their skin),馬鹿な,悪い行為をすることによつて救いを得たい気持などを訴える。彼女らの個人的苦悩は深刻で,多くの向うみずな,ときにはふらちな行動となつて現われる。彼女たちは自分の苦悩がよくわかつているばかりでなく,彼女たちの夫や家族が彼女たちの態度や反応に耐えられぬことをよく知つているので,夫や家族にはすまないと感じているものである。月経出血の開始1〜2時間以内に,心身の緊張の完全な解消が起こる。
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