今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方
II. 内分泌
[頻発月経・稀発月経]
24.頻発月経・稀発月経の対処と処方において,年齢による違いについて教えて下さい.
中田 恵
1
1社会保険神戸中央病院産婦人科
pp.424-425
発行日 2003年4月10日
Published Date 2003/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100965
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1 診療の概説
女性の性周期の確立とその衰退とは排卵,生殖をめぐる生理現象であることを考えると,その異常に対しても自ずと年齢により,また個々人の目的(妊娠や避妊の希望)により,治療の必要性およびその治療法は異なってくるのは当然である.すなわち,病的月経異常として教科書的に無月経(3か月以上),稀発月経(周期が39日以上3か月以内),頻発月経(周期が24日以内)をすべて一律に治療対象とする必要はないと考えられる.
初潮開始を平均12~13歳とすると,初潮後3~4年(15~17歳)は一般的に視床下部下垂体卵巣系の機能は未完成な時期と考えられるため,月経周期の異常に対してもそれほど積極的に治療を行わなくてもよい.すなわちこの時期の治療対象は,無月経の場合および頻発月経のための貧血症状や精神的影響を考慮する必要のある場合などに限られる.20歳頃はほとんどの女性が排卵周期にあると考えられる時期で,本来この時期には性周期は確立していることが望ましい.しかし,最近の平均結婚年齢,平均出産年齢を考慮すると,まだ未婚で挙児希望のないものが多く,その生活背景としても大学生,OLが多く,月経不順が日常生活に悪影響を与えることを不満として病院を受診する場合と将来の妊孕性への不安を訴え受診する場合に分かれる.25歳前後になると,環境的にも妊孕性の問題が現実化し,より積極的で具体的な治療を希望するものが増加する.
このように,16歳頃,20歳頃,25歳頃と同じ病態でも年齢および環境条件により治療法は自ずから異なる.
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