連載 症例
分娩後に突然発症したHELLP症候群の1例
長坂 久司
1
,
長坂 正仁
1
1長坂クリニック
pp.1448-1451
発行日 2003年11月10日
Published Date 2003/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100799
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はじめに
HELLP症候群とは,1982年にWeinstein1)が溶血(hemolysis),肝酵素上昇(elevated liver enzymes),血小板減少(low platelet count)を示す妊娠中毒症の一群を報告し,その頭文字からつけられた症候群である.早期に発見し,迅速かつ積極的に治療がなされなければ母児ともに致命率が高くなる1).
最近の知見では,HELLP症候群は突然発症するものではなく,徐々に血小板数が減少して発症するという2).また,予防にはアンチトロンビンIII(以下,AT―III)製剤が有効である3)とされている.しかしながら,今回われわれは,分娩2日前まで血小板数にまったく異常がなく,予防的にAT―III製剤を投与したが,分娩後に突然発症したHELLP症候群の1例を経験したので報告する.
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