連載 イラストレイテッド産婦人科小手術・10
―【婦人科小手術】―子宮内膜破壊術
高田 淳子
1
,
杉山 里英
1
,
松田 努
1
1東京都保健医療公社大久保病院婦人科
pp.1022-1025
発行日 2006年7月10日
Published Date 2006/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100760
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1 はじめに
2003年のアンケート調査から,日本国内では約600万人の女性が過多月経を自覚していると推計された(株式会社社会情報サービスより)1).
こうした女性たちは子宮筋腫,子宮腺筋症,子宮内膜増殖症,子宮内膜癌などの疾患と診断されることが多いが,鉄欠乏性貧血に陥りながらも器質的な疾患は認められないことも少なくない.全身状態不良などのハイリスクにより開腹手術が困難な症例,患者本人がどうしても子宮全摘出を受け入れられない症例,器質的な疾患がないために子宮全摘出を選択しづらいが過多月経や不正出血により支障が生じている症例に,低侵襲治療として子宮内膜破壊手術が行われるようになった.
欧米では特殊な子宮内膜破壊専用の器械(子宮内腔にフィットする高温蒸散バルーン型,扇状バイポーラ電極型,超高温還流液使用子宮鏡型など)を用いて,主に一般開業臨床医のもとで積極的に行われているようである.ただし,これらの器械は厚生労働省の輸入承認を得られていない本邦では,現実的に一般に普及することが難しい状況である1,2).
そこで,本邦の多くの臨床実地家はレゼクトスコープによる子宮鏡下手術の一環として子宮内膜破壊術を行っている.
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