今月の臨床 産婦人科診療とリスクマネージメント
医療事故の実際とリスクマネージメント
12.児の損傷
越智 博
1
1愛媛大学医学部附属病理周産期センター
pp.201-203
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100629
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はじめに
近年の産科診断学の進歩と帝王切開率の増加によって鉗子分娩と骨盤位分娩に伴う児の損傷は減少した.一方,肩甲難産は分娩が終了する直前に突然発症し,児に重篤な損傷をきたすことがあり,最近の医療訴訟の対象として注目される.ある判例では,母体が糖尿病の治療中なのに超音波胎児計測などの適切な管理を怠り,4,390 gの児を吸引分娩およびKristeller圧出法を行って娩出した結果,肩甲難産による永続的な腕神経叢麻痺が発生したとして医師の過失を認め,逸失利益など4,000万円を超える賠償を命じている.このように児の損傷にかかわる医療事故はわれわれの身近に存在しており,本稿では分娩に伴う児の損傷のリスクマネージメントについて解説する.
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