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ガイドラインをふまえた性感染症に対する抗菌薬治療の実際
松田 静治
1
1(財)性の健康医学財団
pp.1143-1145
発行日 2005年8月10日
Published Date 2005/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100478
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若者に増える最近の性感染症の特徴
近年,若年者の間で性感染症(STD,STI)が急速に増えてきている.1999年の感染症新法の制定に伴い,従来の性病予防法で規定された性病という名称はなくなり,クラミジア,トラコマチス感染やHIVをはじめ,ウイルス感染を加え,現在STDには10種類以上の疾患がある.厚生労働省の感染症発生動向調査では大都市を中心にSTDは増加し,罹患年齢も10代後半~20代の間で増加がみられている.また臨床病態が比較的軽微で目立った自覚症状がなく,周囲に感染が拡がるばかりでなく,STDは性器に限局するものとする従来の概念が大きく変わり,性交以外の性行為による感染も増えていることに注意しなければならない.
クラミジアや淋菌ではオーラルセックス(経口感染)により口腔(咽頭炎)への感染も拡がってきている.この背景には性に関する意識や性行動の変化が挙げられよう.なかでも問題は,性行動の活発な若者や未婚女性におけるSTDの増加で,セックスパートナーが多いほど,人工妊娠中絶の既往を有するものほど,感染頻度の高い傾向がみられる.治療で問題なのが耐性淋菌感染症(ニューキノロン系薬,β─ラクタム系薬耐性など)の増加で,有効薬剤が限られていることである.
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