今月の臨床 骨粗鬆症をめぐる新しい話題
診断
骨代謝マーカーの読み方
津田 幹夫
1
,
児玉 一郎
1
,
工藤 美樹
1
1広島大学大学院医歯薬学総合研究科産科婦人科学
pp.1090-1093
発行日 2005年8月10日
Published Date 2005/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100468
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はじめに
骨代謝マーカーの測定意義は,骨粗鬆症の疾患概念の変遷とともに変化しているように思われる.以前,骨粗鬆症とは「骨量の低下と骨微細構築の劣化を特徴とし,骨折をきたしやすい全身性の骨疾患」と定義されていた1).骨量は脊椎X線や,dual X─ray absorptiometry (DXA)法による骨密度測定により決定されていたが,骨代謝マーカーはこれらの方法と比較して被曝のリスクがなく,尿や血液といった簡便な材料で測定できるためX線測定に替わる指標として位置づけられていた.しかし,2000年には骨粗鬆症の定義が「骨折リスクを増加させるような骨強度障害を持つ人に起こる骨格の疾患」へと変化し2),骨強度が骨密度と骨の質によって決定されることから,骨代謝マーカーは臨床的に骨の質を評価することができる唯一の方法として注目されるようになった.
本邦においても2001年に日本骨粗鬆学会より骨代謝マーカーの適正使用ガイドライン3)を呈示され,その後改訂を重ねて2004年には骨代謝マーカーを用いた骨粗鬆症治療の効果判定のガイドライン4)が呈示されている.本稿では,そのガイドラインの内容を中心に骨代謝マーカーの使い方を概説する.
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