今月の臨床 婦人科の新しい画像診断法─PETを中心として
ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)
原理,読影の基礎
巽 光朗
1
,
村上 卓道
2
,
中村 仁信
2
,
畑澤 順
3
1武田病院画像診断センター
2大阪大学大学院医学系研究科放射線医学講座
3大阪大学大学院医学系研究科核医学講座
pp.1444-1447
発行日 2005年11月10日
Published Date 2005/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100426
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PETの原理,基本
PETは正式名称をpositron emission tomography(陽電子放射断層撮影)といい,核医学検査に分類される.主として経静脈性に,機能・代謝情報を観察するための物質に陽電子放出核種で標識した放射性薬剤を投与するが,この陽電子放出核種から生じる高エネルギー(従来の核医学検査と比較して)の消滅放射線を用いて画像を得る点がPETの大きな特徴である.PETで用いられる陽電子放出核種はほとんどが半減期が短く,したがって,上記の特徴を持った放射性薬剤合成のためには自家のサイクロトロンが必要とされる.また,専用のPETカメラも必要とされる.
近年,がんに対する「PET検査」が注目されているが,ここでのPET検査はブドウ糖類似の放射性薬剤2─[18F]fluoro─2─deoxy─D─glucose(FDG)を用いたFDG PET検査を意味する.ブドウ糖代謝が悪性腫瘍細胞で亢進していることを利用して画像化するものである.この悪性腫瘍における亢進したブドウ糖代謝については古くから知られており,10年ほど前までは,同じく活発なブドウ糖代謝が行われている脳に対して主として用いられるのと同様に,腫瘍FDG PET検査(以下,PET検査)は研究用に行われていた.その後,全身像の撮像が可能となったこと,また,それによって実現した転移の評価がCTなどのほかの画像診断を超える高成績であったこと,さらに,制限はあるものの2002年より保険診療が可能となったことなどを契機に急速にPET検査は普及することとなった.癌検診にもPET検査が用いられていることは,多くの諸氏がご存知かと思われる.
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