今月の臨床 腫瘍マーカー─基礎知識と診療指針
腫瘍マーカーの細胞生物学―CA125
鏡 誠治
1
,
柏村 正道
2
1産業医科大学化学療法センター
2産業医科大学産婦人科学教室
pp.1343-1347
発行日 2005年10月10日
Published Date 2005/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100408
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はじめに
腫瘍マーカーは1975年にモノクローナル抗体の作製法が確立されて1),さまざまな種類のものが発表されてきた.特に臨床応用されているものは糖鎖抗原関連腫瘍マーカーである.これはコア蛋白,母核糖鎖,基幹糖鎖,糖転移酵素,修飾構造(末端糖)などからなっている(図1)2).
CA125抗原はコア蛋白であり,上皮性婦人科腫瘍で最も関連性のあるマーカーとしてよく知られている.成人において卵管上皮,子宮内膜上皮,頸管上皮,胸膜や心嚢膜中皮細胞,腹膜に存在する.表層上皮性卵巣癌に対する陽性率が高いが,子宮内膜症,胸腹膜の炎症性疾患,月経時や妊娠初期などでも上昇する.近年,CA125抗原分子がクローン化され,これが新たな膜結合型ムチンMUC16と称され,癌研究において現在注目を集めている3).これらについて最近の研究報告を含め解説する.
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