今月の臨床 女性診療科外来プラクティス
VIII 感染症外来
3. 子宮内膜炎,子宮傍結合織炎
進 伸幸
1
,
青木 大輔
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.639-641
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100113
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1 子宮内膜炎
1. 病因と病態
子宮内膜の炎症である.一般に成熟女性では,頸管粘液の存在と月経周期に伴う内膜の剥脱と再生のため,外科的処置を受けた場合や,何らかの免疫抑制状態でなければ感染症は惹起されにくい.逆に,定期的な内膜剥離がない閉経後の場合や,子宮口が開いていて上行感染が生じやすい場合,子宮口が閉じていて分泌物が貯留しやすい場合などは,内膜炎が生じやすい.
1) 産褥性
胎盤,卵膜の遺残,また分娩後の子宮内処置が誘因となる.分娩後や流産後は,子宮内腔の処置が行われ,月経周期の回復までは時間がかかり,また子宮口が開いているので,腟からの上行性感染が起こりやすい.外陰,腟からの上行性感染の原因菌としては,連鎖球菌,ブドウ球菌,大腸菌,腸球菌,嫌気性菌などが挙げられる.
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