症例検討会 骨・軟部腫瘍18例
症例1—左大腿骨腫瘍
陳 信成
1,3
,
立石 昭夫
1,3
,
宮永 豊
1,3
,
今村 哲夫
2,3
,
町並 陸生
2,3
1東京大学整形外科
2東京大学病理
3日本整形外科学会骨・軟部腫瘍研究会
pp.460-463
発行日 1979年5月25日
Published Date 1979/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908570
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
患者:40歳,男.主訴:左膝関節痛.
昭和50年1月左膝関節痛出現し,6月跛行が生じ,51年6月夜間痛が出現し,左膝上部に腫脹がみられた.10月2日歩行困難となり10月20日当科受診した.左大腿下部に腫脹と圧痛がみられた.入院時検査では,LDHの軽度上昇と血清Pの低下以外特に異常所見はみられない.X線像で大腿骨遠位骨幹端部に骨破壊像があり,骨吸収と骨皮質の膨隆があり,一部に骨膜性反応が認められた(第1-1図).11月1日病的骨折が生じ血管撮影ではhypervascularityとtumor stainが認められた.生検を施行し,軟らかい灰白色ないし赤色の実質性の腫瘍で,病理診断では原発性悪性骨腫瘍かまたは転移癌が疑われた.原発巣を検索したが,検査では異常所見はみられなかつた.11月22日大腿切断術を施行した.52年7月断端部痛出現し,10月のX線像で大腿骨大転子部に骨皮質の破壊がみられ,再発を疑い11月16日生検の上,左半側骨盤離断術を施行した.その後Adriamycinによる化学療法を行なつた.53年7月現在,局所再発,転移巣はみられず,特に原発巣を思わせる所見もない.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.