Japanese
English
臨床経験
クモ膜下腔に転移した悪性胸腺腫の1例
Malignant Thymoma Metastasizing to the Subarachnoid Space: A Case Report
竹川 克一
1
,
伊藤 俊介
1
,
藤井 充
1
Katsuichi Takekawa
1
1宇和島社会保険病院整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Uwajima Social Insurance Hospital
キーワード:
悪性胸腺腫
,
malignant thymoma
,
転移
,
metastasis
,
クモ膜下腔
,
subarachnoid space
Keyword:
悪性胸腺腫
,
malignant thymoma
,
転移
,
metastasis
,
クモ膜下腔
,
subarachnoid space
pp.1089-1093
発行日 1985年9月25日
Published Date 1985/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907262
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録:症例は73歳男性.左下肢しびれを主訴として来院し,ミエログラフィーにて完全ブロック騎袴状を呈したため椎弓切除,腫瘍摘出術を施行.病理学的に転移性悪性胸腺腫の診断を得た.術後6カ月にて主訴は消失した.
胸腺腫は比較的稀な疾患で正岡らの統計で年間768例で,悪性のものは一般に近接臓器に浸潤し,遠隔転移をきたすことは稀である.Seyboldは,1950年49例の胸腺腫の精査にて,遠隔転移はないとし,Bernatzは1961年138人中2人に遠隔転移を認めたにすぎない.転移は主として肝・腎が多く,中枢神経系への転移は我々の検索しえた範囲では14例で,うち脊髄へ転移したものは6例しかなく,クモ膜下腔に転移し,ミエログラフィーにて孤立性の騎袴状陰影を呈したとの報告はなく,きわめて稀な症例であると思われ,文献的考察を加えて報告した.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.