症例検討会 骨・軟部腫瘍13例
〔症例4〕右大腿骨腫瘍
坂江 清弘
1
,
後藤 正道
1
,
佐藤 栄一
1
,
森本 典夫
2
,
押領司 光雄
2
,
酒匂 崇
2
1鹿児島大学医学部第2病理
2鹿児島大学医学部整形外科
pp.249-251
発行日 1984年3月25日
Published Date 1984/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906914
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
患者:14歳男子.昭和56年8月末,自転車で転倒し,右臀部を打撲.右股関節部痛が持続したため,9月25日当科を受診.初診時X-Pにて,右大腿骨小転子から骨頭にかけて骨萎縮像がみられた.その後発熱や局所熱感があり,骨髄炎として,某医で抗生剤の投与を受けたが,疼痛は消失しなかった,その後2か月間で,大腿骨小転子から頸部にかけて,偏在した地図状の骨破壊像が増大してきたため,翌57年2月9日当科へ転科した.入院時X-Pにて,小転子に淡明な腫瘍陰影がみられ,骨皮質は皮殻様に菲薄化し,腫瘍内にポップコーン様の石灰化巣がみられた(図4-1).血管造影では,大腿動脈の軽い偏位が認められただけで,悪性所見はなかった.99mTcMDPおよびGa66citrateの骨シンチグラフィーにて異常集積像を呈したため,悪性が疑われた.2月23日と3月4日の2回の生検にて,異型骨芽細胞様細胞がみられ悪性が疑われたが,結果的には悪性の確診がえられないまま,3月25日腫瘍摘出術が施行された.腫瘍はen-blocに摘出され,掻爬骨移植が行われた.術後1年4か月現在,局所再発,転移はなく,骨癒合も良好である.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.