症例検討会 骨・軟部腫瘍10例
症例8—右大腿骨骨腫瘍
長沢 博正
1
,
赤星 義彦
1
,
武内 章二
1
,
常田 昌弘
1
,
兼松 秋生
1
,
北川 洋
1
,
葛西 千秋
1
,
細江 英夫
1
,
下川 邦泰
2
,
尾島 昭次
2
,
池田 庸子
2
1岐阜大学整形外科
2岐阜大学第2病理
pp.256-259
発行日 1982年3月25日
Published Date 1982/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906508
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患者:36歳,男,昭和50年頃より誘因なく右大腿遠位部より膝関節にかけての疼痛を覚えるようになった.昭和54年2月某病院でレ線上異常を指摘されたが放置.昭和55年3月頃より局所の腫脹と自発痛が増強し歩行困難となったためbiopsyを受け,悪性腫瘍の疑いにて,同年4月30日当科に紹介され入院した.
入院時右大腿遠位部は瀰漫性に腫脹し,熱感,圧痛を認めた.臨床検査成績では赤沈1時間値30mm,CRP 1+,GPT 74I.U.とやや高値を示した以外にはとくに異常を認めなかった.昭和54年2月の某病院初診時のレ線像では,右大腿骨は骨幹部から骨端部にかけて広範な多胞性スリガラス様変化を認め,骨皮質は菲薄化膨隆していたが骨膜反応は認めなかった.1年2ヵ月後の55年4月当科入院時レ線像では,病巣はさらに中枢側,末梢側へ広がり骨皮質の菲薄化膨隆も増強し病的骨折も認めたが,やはり骨膜反応はみられなかった(図8-1).断層撮影,CTスキャンでも同様の所見を認めた.99mTc骨シンチグラフィーではレ線像に一致して強い異常集積像がみられた.
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