視座
医学教育の欠陥
御巫 清允
1
1自治医科大学整形外科
pp.3
発行日 1982年1月25日
Published Date 1982/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906462
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私は,故三木教授というまたとない師を得て本当によかったと思っている.三木教授は私を虎の門病院に推挙して下さったが,その赴任に当って,診療病院で腕をみがくこともいいが,いつかは後輩育成のために医学教育に従事しなければならないと言われた.その言葉が頭にあったので,津山教授から自治医大へ行くように言われたとき直ちにおうけしたのであるが,さて医学教育にたずさわってみると,自分が学生であったときのことも思い合わせて,医学教育の欠陥を感ぜざるを得ないが,自分の非力ではどうしようもなく,さっぱり改善されないのをなげいてばかりいる.私の考えをどなたか実行に移してもらえないかと思って「視座」をかりて述べてみたい.
学生に教えておかねばならぬことはどんどんふえるし,国家試験はどうしても通らなければならないし,という事情もあるが,日本の医師としてどうしても知らねばならないことが教えられていないのはどうしたことであろうか.病院管理学というものはあっても病院建築そのものについては何も教育していないから新しくできる病院は皆,そのときかぎりの個人趣味丸出しのものを,建築設計者の言うなりに作ってしまって,あとでしまった,ということになっていることが多い.病院にとって最も大切な機能の点は誰でも考えるが,安全性については誰も考えないことなどもその一例である.
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