書評
—𠮷村 長久,山崎 祥光 編—トラブルを未然に防ぐカルテの書き方
川崎 誠治
1
1三井記念病院
pp.1871
発行日 2023年10月10日
Published Date 2023/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402229205
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本書は,北野病院の𠮷村長久院長と山崎祥光弁護士の編集で上梓されたものである.適切なカルテ記載の重要性を認識し,もともと関心をもっていらっしゃった𠮷村院長が,医師の資格もあり臨床経験もおもちの山崎弁護士にカルテ記載に関する講演を数多く依頼してきた.その講演の内容が土台となったのが本書である.このお二人の組み合わせこそが,独特の視点をもつ本書の出版を可能にしたと言える.北野病院医療安全管理室の先生方と山崎弁護士が中心になり著述されているが,本書を読むと,「カルテ記載のない事柄はなかったことになる」ということがあらためて強く認識される.そのほかに,「何となくそうではないか」,あるいはぼんやりと「どうなのだろう」と思っていたいくつかのことが明瞭に説明・記述されており,大変参考になる.以下に例を挙げる.
・カルテと異なり,忌憚のない意見交換の場であるカンファレンスや医療安全事例検討会などの議事録は開示の義務はない(むしろ開示すべきではない).それと関連して開示・非開示の書類の区別を医療機関内できちんと定めておくべきである.
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