特集 脊椎外傷—早期の病態・診断・治療—(第7回脊椎外科研究会より)
総括
胸腰椎部損傷—観血的治療の部
井形 高明
1
Takaaki IKATA
1
1徳島大学医学部整形外科学教室
pp.400-402
発行日 1979年4月25日
Published Date 1979/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905895
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脊柱損傷の治療目標が,そのレベルや程度に関係なく,痛みのない,強靱で可動性のある背骨の再建にあり,解剖学的修復よりは安定性の付与に主体が置かれている.この際,諸付属靱帯の断裂を伴つた脊椎骨折では骨性癒着による安定性獲得を期待しなければならない.このセクションで発表された7題は胸腰椎部損傷の再建に観血的整復や癒着法を適応した報告であつた。その多くの症例は神経障害を合併した不安定性損傷であり,それに伴う二次的合併症の予防や早期のリハビリテーション開始の両立にも手術目的が置かれていた.これまで,脊髄損傷を伴つた脊椎外傷に対する観血的療法はそのdemeritの大きさに鑑み,適応が狭められてきた国立村山病院の藤村氏らが述べているように,最近の長足の進歩を遂げた脊椎外科をもつてすれば,保存的療法に固執することなく,両者を縦横機敏に駆使することも可能な時代と思われる.このような観点もあつてか,各演者の内容に深く立ち入つた討論がなされた.以下,その要旨を総括的に述べることにする.
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