カラーシリーズ 整形外科医のための免疫学・2
リンパ球の特異性—特にC3レセプターについて
石山 昱夫
1
,
小室 絵里佳
1
,
吉野 槇一
2
1帝京大学医学部法医学教室
2日本医科大学理学診療科
pp.114-117
発行日 1979年2月25日
Published Date 1979/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905851
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前稿で,組織抗原の簡単な分析法として,混合凝集反応の利用度について説明を加えたが,この反応はすでにいろいろの方面で活用されている.たとえば,抗原抗体反応の複合物は補体を結合するが,補体成分のなかのC3が結合した複合物はヒトの赤血球を凝集する能力がある.これを免疫粘着反応というが,これも混合凝集反応を利用して観察しているのである.すなわち,試験管内で抗原と抗体と補体を混じて一定時間37℃に放置したあとで,ヒトの赤血球(0.1〜0.5%くらいのうすい血球浮遊液)を加えて,更に1時間〜1時間半ぐらい放置するとC3を結合した複合物ができた場合には試験管の管底にうすい膜がはってくる.もし,陰性の場合には,管底に血球があつまった所見が得られる.この方法をつかうと抗原抗体反応の検出感度は時に数十倍もよくなることがある.この現象の原理は,抗原抗体反応複合物に結合した補体成分のC3は,未結合の場合のそれとはことなって,ヒトの赤血球表面にあるC3結合基(レセプター)と反応する作用が生ずるためといわれる.
ところで,凝集反応という現象は,通常考えられているよりもかなり厄介なものである.
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