視座
骨髄炎の根絶へ
岩原 寅猪
1,2
1慶応義塾大学
2国立村山療養所
pp.621-622
発行日 1973年8月25日
Published Date 1973/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904867
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30年ほど前,化学療法の黎明期にあたつて,世人はおめでたくも,これで化膿性疾患の治療は解決したかのような速断に陥つたものである.事実,かつてあれほど多かつた多くの化膿性疾患,たとえば,せつ,よう,丹毒などは影をひそめ,丹毒のごときは見たくもみられず,みせたくも見せられないというのが現状である.
化学療法時代になつて化膿性骨髄炎もまた急激に減少し,また重篤度を減じてきた.かつて,ペニシリンが漸くゆきわたらんとした時期には,わずか数十万単位のペニシリンと骨におよぶ切開または骨穿孔などによる減圧とによつて,大きな腐骨や骨柩を造ることなしに,急性化膿性骨髄炎を治し得たものである.
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