連載 世界の公衆衛生に貢献した日本人先駆者たち-次世代へのメッセージ・4
疾病根絶対策と私(下)
蟻田 功
1
1(財)国際保健医療交流センター(ACIH)
pp.561-564
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100917
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根絶の次のターゲット,麻疹
南北アメリカ大陸では,Pan American Health Organization(以下,PAHO)が活発な保健活動を行っています.例えば,最後のポリオ患者が出たのは,この大陸では1991年でした.そして1994年には,確かに患者はゼロだと確認できました.それでPAHOは,次の根絶計画として麻疹を考え,その1つの例としてキューバの麻疹対策に注目しました.
キューバではカストロ氏がしっかり舵取りをしており,保健サービス,保健制度がうまく機能しています.キューバは小さな国ですが,麻疹を「catch up」, 「keep up」, 「follow up」と行って,1994年にはほとんど患者がゼロになりました.「catch up」とは,麻疹ワクチンを15歳まで一斉に行うことです.それによって,ワクチンの未接種者の積み残しをなくします.「follow up」とは,その後,5歳までの子どもに5年ごとに一斉接種を行うことです.その間は「keep up」として,ルーティンのワクチン接種プログラムを行います.このやり方によって,キューバではほとんど麻疹患者がゼロという状況になったわけです.
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