シンポジウム 顔面外傷
軟部組織の修復
谷 太三郎
1
Tasaburo TANI
1
1岡山済生会総合病院形成外科
pp.416-423
発行日 1973年5月25日
Published Date 1973/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904841
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はじめに
顔面の外傷後の瘢痕や変形に対して形成手術を希望して来院する患者は,年々増加してきているが,それらの患者の診療を行なつて私たちの感じることは,受傷当時の最初の処置がもつと適切であれば,修正手術の必要はなかつただろうと思われるものや,少なくとも修正や再建手術がもつと容易であつただろうと思われるものが,決して少なくないということである.
もつとも人目につく顔面の損傷ということで,2次的な修正手術や再建手術の必要な場合が少なくないことも事実であるが,それでも場合によつては初回の処置の際には可能な修復が,2次的には著しく困難あるいは不可能にさえなることもある.また顔面の組織は他にかけがえのないものであつて,それが初期治療の際に不注意に切除されてしまつたり,あるいは余分な損傷をつけ加えられることによつて,2次的手術が著しく困難になることもある.
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