論述
乳児筋性斜頸のいわゆる自然治ゆについて
篠田 達明
1
,
山田 英世
2
Tatsuaki SHINODA
1
1愛知県心身障害者コロニー中央病院
2長野赤十字病院整形外科
pp.82-88
発行日 1970年2月25日
Published Date 1970/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904362
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いとぐち
先天性筋性斜頸には自然治ゆが見られることは知られているが,どの程度の病変が,いかなる経過をたどつて治ゆに至るかについて系統的に報告した文献はほとんど見当らない.近年,胸鎖乳突筋腫瘤が新生児期より乳児初期にかけて発見されるようになり,筋性斜頸症例の大多数は生後1ヵ月前後で外来を訪れてくる.これらの患児について,いずれが自然治ゆを営み,いずれが定型的斜頸に移行するかを初診時にあらかじめ知りうるならば,斜頸の治療上きわめて有意義なことといえよう.
わたくしたちは筋性斜頸患児のもつ自然治ゆ力はいかなるものか,また早期予後判定の指標となるものは何かを明らかにすることを目的として,生後1ヵ月前後で受診した症例を対象とし,これらにまつたく治療を行なわず,定期的観察のみにより症状の推移を追究した.これら乳児筋性斜頸の無処置経過観察例のうち,ほぼ観察を終えた症例につき検討を加えて報告する.
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